車からビールが出る弊社の車
R_BREWERY(アールブルワリー)
滋賀県
滋賀県蒲生郡竜王町山之上7104-1天然温泉「蒲生野の湯」敷地内
TEL:0748-36-1350(リンクを新しいタブで開きます)
E-mail:mail@r-brewery.com
HP:https://hareroi.tokyo/(リンクを新しいタブで開きます)
Instagram:r_brewery_japan
事業内容:クラフトビールの製造・販売、醸造体験、醸造講座・研修、醸造コンサルティング
営業時間:10:00~17:00
定休日:木曜日
開業:2024年
代表取締役
ブラウマイスター・醸造家
義本 健太
2006年 体育学部社会体育学科卒業
在学時の所属:体操競技部
日体大で培った挑戦する力を、ビールづくりの世界へ
暮らしと食卓に寄り添う一杯を届ける「R_BREWERY」
滋賀県蒲生郡竜王町にある、クラフトビール醸造所「R_BREWERY(アールブルワリー)」。
運営するのは、2006年に日本体育大学体育学部社会体育学科を卒業した義本健太さんです。日体大では体操競技部に所属し、厳しい練習と寮生活を通じて、困難に立ち向かう力と、生涯にわたる仲間とのつながりを得ました。
大学卒業後は旅行会社の海外添乗員、製薬会社の営業職などを経験。その後、ビールづくりを本格的に学ぶためにドイツへ渡り、約5年間にわたって現地で働きながら醸造技術を身につけました。2020年には、ドイツ手工業協会による製麦・ビール醸造の国家資格「ブラウマイスター」を取得しています。
現在は、自ら醸造したビールを販売するだけでなく、一般のお客様が自分のビールをつくる「醸造体験」や、プロの醸造家を対象とした講座・研修、醸造所へのコンサルティングなど、幅広い事業を展開しています。

自分の手でビールをつくる「体験型醸造所」
R_BREWERYの大きな特徴は、完成したビールを購入するだけでなく、実際に醸造工程を体験できることです。
お客様は醸造所を訪れ、義本さんの指導と管理のもとで、ビールのもととなる麦汁づくりを行います。その後の発酵や熟成、瓶詰めなどは醸造所が担当し、完成したビールを後日お客様のもとへ届けます。
醸造所での体験に加え、企業や団体の会場を訪問して麦汁づくりを行う出張型の醸造体験も実施しています。R_BREWERYの公式案内では、約15リットル、中瓶約30本分のビールをつくる体験が紹介されています。
義本さんは、このサービスを「料理教室のビール版のようなもの」と表現します。単にビールのつくり方を学ぶだけではありません。どのような味にするのか、誰と、いつ、どのような場面で飲むのかを考えながら、自分だけのビールをつくることができます。
ドイツで飲んだ一杯が、人生を動かした
義本さんは大阪府出身。大阪体育大学浪商高等学校から日本体育大学へ進学しました。
大学卒業後は、旅行会社に就職し、海外専門の添乗員として約3年間勤務しました。ビールづくりに興味を持つきっかけとなったのは、仕事で訪れたドイツで飲んだビールだったといいます。「お客様をご案内したドイツで飲んだビールが、本当においしかったんです。それがきっかけだったと思います」
旅行会社を退職した後は、約1年間にわたってヨーロッパや南米を旅しました。帰国後は製薬会社に入社し、医療機関を担当する営業職として勤務します。もともと「いつか自分で会社を起こしたい」という思いを持っていた義本さん。しかし、日本ではビール醸造を体系的に学べる場所が限られ、個人が趣味として自由に醸造できるものでもありません。

「それなら、ドイツへ行こう」

結婚を機に製薬会社を退職し、妻とともにドイツへ渡りました。現地で約5年間働きながら専門的な知識と技術を学び、2020年にブラウマイスターの資格を取得。帰国後は醸造に関するコンサルティングや業界内でのネットワークづくりを進め、2023年に義本醸造株式会社を設立しました。
その後、滋賀県竜王町の天然温泉「蒲生野の湯」の敷地内に、体験型クラフトビール醸造所「R_BREWERY self」を開設しました。
マイスター学校時代4
ビールづくりで最も大切なのは「安全」
仕事をするうえで最も大切にしていることを尋ねると、義本さんは迷うことなく「安全です」と答えました。
ビール醸造では、高温の液体や蒸気、圧力のかかった設備、重量物などを扱います。火傷やけがだけでなく、管理を誤れば重大な事故につながる可能性もあります。
「おいしいビールをつくることよりも前に、まず安全です。プロ向けの講座や研修でも、安全については必ず最初に伝えています」
醸造体験でも、参加者が安心して作業できる環境を整え、義本さんの管理のもとで工程を進めます。
ドイツで体系的に学んだ知識と経験を、味や品質だけでなく、安全管理にも生かしていることが、R_BREWERYの重要な基盤となっています。
主役になり過ぎない、食卓に寄り添うビール
クラフトビールというと、香りや苦味、個性的な素材などを前面に押し出した商品をイメージする方も少なくありません。一方、義本さんが目指しているのは、強く主張するビールではなく、食事や会話にそっと寄り添うビールです。
「人々の生活や食事の時間が一番の主役です。ビールは、そこに花を添えるような存在であればいいと思っています」
食事の邪魔をせず、会話の邪魔もしない。それでいて、そこにビールがあることで、食卓が少し楽しくなり、会話が自然に弾む。そんな一杯を届けたいと考えています。
ドイツでは、ビールは特別な飲み物というより、日々の食事や人々の交流の中に自然に存在しています。義本さんは、その文化に触れた経験を、自身のビールづくりにも反映させています。
「食事に合わせて、このビールを選ぼう。このビールに合わせて、今日はこの料理にしよう。そんな会話が生まれれば、食卓も人生も、少し豊かになると思います」
マイスター学校時代3
「飲みやすく、飲み飽きない」ことへのこだわり
R_BREWERYのビールの特徴は、飲みやすく、何杯飲んでも飽きにくいことです。義本さんは、ドイツで身につけた知識と経験を生かし、醸造工程を感覚だけで捉えるのではなく、原料、温度、時間、発酵状態などを論理的に分析します。
醸造所ごとの設備や工程を見れば、弱点や改善すべき箇所を見極めることができるといいます。その技術を自身の醸造所にも注ぎ込み、味わいのバランスを細かく調整しています。
「飲みやすいこと、飲み飽きないこと、温度が上がっても品のある味わいであること。そのあたりが、自分のビールの特徴であり、自信を持っているところです」
R_BREWERYでは、ドイツのビール文化で重視される「ドリンカビリティ」、すなわち無理なく飲み続けられる味わいを大切にしています。
個性的でありながら、料理や日常になじむ。その絶妙なバランスが、義本さんのビールづくりの持ち味です。
人生の節目に飲む「もったいないビール」
醸造体験に訪れるお客様の中には、特別な思いを持ってビールをつくる方が多くいます。結婚式で家族や友人に振る舞うビール。子どもの誕生を記念してつくるビール。還暦や退職、会社の周年など、人生の節目に大切な人と飲むためのビール。
多くの方が、完成した後の場面を思い描きながら醸造所を訪れます。「最後の一本を、いつ飲もうかと大切に取っておいてくださる方がいます。賞味期限が過ぎてしまったけれど、まだ飲めますかと相談されることもあります」
自分で仕込んだビールには、完成品を購入するだけでは得られない時間と物語が加わります。飲んでしまうのが惜しいと感じるほど、お客様にとって大切な一本になることもあります。
「『飲むのがもったいない』と思っていただけるビールを提供できていることは、本当にうれしいですね」
味だけではなく、つくる時間や、完成を待つ時間、誰かと一緒に飲む時間まで含めて、一つの体験として届ける。それが、R_BREWERYの醸造体験の魅力です。
日本一を目指して進学した日本体育大学
「やるなら日本一の環境で」
義本さんが日本体育大学への進学を決めた理由は、体操競技に打ち込むためでした。
高校時代から競技で一定の成績を残し、大学で競技生活を終えることを決めていた義本さん。「最後まで続けるのであれば、日本一の環境で挑戦したい」と考え、日体大を選びました。「どうせやるのであれば、日本一の大学で競技をしようと思いました」
入学当時は、前年に体操競技の練習施設が火災に遭った影響で、十分な練習場所がありませんでした。大学外の体育館や高校の施設を借りるなど、複数の場所を移動しながら練習を続けた時期もあったといいます。その後、新たな体育館が整備され、恵まれた環境で練習できるようになりました。
現役時代
寮生活で得た、かけがえのない仲間
学生時代の思い出として、義本さんが真っ先に挙げたのが、体操競技部の仲間との寮生活です。
施設の事情から、当初は部員が複数の場所に分かれて生活していました。義本さんの暮らしていた寮には、上級生が一緒に住み、後輩たちの生活を見守っていました。厳しい上下関係を想像していたものの、先輩たちは親切で、練習以外の時間も含めて楽しく過ごせたと振り返ります。
寮の屋上やベランダで、先輩や後輩と七輪を囲んで焼き肉をしたことも、今では懐かしい思い出です。「練習も寮生活も含めて、本当に楽しかったですね。先輩、後輩、同期との距離が近く、仲が良かったです」
当時の仲間との関係は、卒業から長い年月が過ぎた現在も続いています。特に親しい友人とは、年に数回、夫婦同士で旅行に出掛けることもあります。義本さんが声を掛けて集まりを企画すると、多くの仲間が参加してくれるといいます。
「日体大に行ってよかったと思う一番の理由は、やはり仲間です」
学生部内選考会最後の試合後
過酷な練習「すごろく」で培った精神力
体操競技部で特に印象に残っているのが、部内で「すごろく」と呼ばれていた練習です。
当時の男子団体競技は6人で6種目を行っていたため、全員で合計36回の演技を連続して成功させなければなりませんでした。途中で一人でも失敗すれば、最初の演技からやり直しになります。最後の一人が失敗しても、再び最初からです。その様子が振り出しに戻るすごろくに似ていることから、この呼び名がついていました。朝5時に始めても、夜11時まで終わらないことがありました。選手たちの手が傷つき、翌朝に持ち越されることもあったといいます。
「6人目になると、ものすごく緊張します。手が震えるほどのプレッシャーでした」体力的にも精神的にも厳しい練習でしたが、その経験が、卒業後の人生で困難に直面した際の支えになっています。
「社会人になってから大変なこともありましたが、あの練習ほど体力的に厳しいことはありませんでした。あれを乗り越えたのだから、何とかなると思えました」
ドイツで一から言葉や技術を学び、国家資格の取得に挑んだこと。帰国後、コロナ禍の中で事業の準備を進め、醸造所を立ち上げたこと。その原点には、日体大で培った粘り強さと精神力があります。
授業で知った、スポーツの多様な役割
義本さんが在籍していたのは、体育学部社会体育学科です。競技スポーツだけでなく、生涯スポーツや障がい者スポーツなど、社会とスポーツとの関わりを幅広く学びました。
特に印象に残っているのが、車椅子の扱いを学んだ授業です。それまで車椅子を操作した経験がなく、実際に扱ってみて初めて、その難しさや利用者の立場に気づくことができたといいます。
体操競技だけに打ち込むのではなく、さまざまな立場から身体やスポーツについて学んだ経験も、義本さんの視野を広げました。
ビールを通じて、暮らしを豊かに
世界で一番フレッシュなビールを届けたい
現在、義本さんが構想しているのは、より規模の大きな醸造施設です。現在の醸造所は小規模ですが、設備や生産規模を拡大することで、製造工程をさらに安定させ、より高い品質のビールを、多くの人に届けられるようになります。
新しい施設では、醸造されたばかりのビールを、その場で味わえる環境をつくりたいと考えています。
「世界で一番フレッシュなビールを飲んでもらいたいです。鳥肌が立つような、ビールに対する価値観が変わるような体験を届けられる工場をつくりたいと思っています」
ビールを製造して販売するだけではなく、つくる工程を知り、その場で味わい、人と語り合う。ビールを通じて、食卓や暮らし、人と人とのつながりを豊かにする場所を目指しています。
同窓生へのメッセージ
「お酒は、細く長く楽しんでほしいと思います」
学生時代は、仲間と勢いよくお酒を飲んだ経験のある方も多いと思います。しかし、つくり手となった現在、義本さんは、お酒と長く付き合うことの大切さを伝えています。年齢や体調に合わせて飲み方や量を考えながら、食事や会話とともに楽しむ。人生の最後まで、笑顔でお酒を味わえるような付き合い方をしてほしいと話します。
R_BREWERYのビールをきっかけに、普段何気なく飲んでいるお酒について、少しだけ深く考えてみてはいかがでしょうか。
在学生・若い同窓生へのメッセージ
「若いうちはリスクが少ない。何でも挑戦してほしいです」
義本さんは、今やりたいと思っていることを10年後にできるか、一度想像してみてほしいと話します。
年齢を重ね、仕事や家族など、守るべきものが増えると、挑戦するための条件は変わります。10年後には難しいと思うことであれば、今、踏み出した方がよい。それが、義本さんが学生たちに伝えている言葉です。旅行会社、海外放浪、製薬会社、ドイツへの移住、国家資格の取得、そして醸造所の開設。一見すると異なる経験の積み重ねが、現在の義本さんの仕事につながっています。
「今やりたいことを、10年後に実行できるか考えてみてください。難しいと思うのであれば、今やった方がいいと思います」
日本のテレビ取材